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債権を回収しようとする際、違法にならないよう気をつけるべき注意点

人にお金を貸したのに返してもらえない、商品を販売したのに代金を支払ってもらえない、そういう場合にお金や商品を返して欲しいと請求する権利が発生します。それを債権と呼び、回収するのは債権者の当然の権利です。ただし相手の合意なしに、勝手に回収したり相手を脅して返却させたりするのは違法行為となり、罰せられる可能性があります。ここでは債権回収の際に違法となってしまうような行為についてご説明します。

個人で債権回収をする際の注意点、違法行為など

弁護士やその他の専門家に頼んで債権を回収しようとすると手間もお金もかかります。まずは自分で回収しようとするのは自然な気持ちでしょう。ただし、「返さない相手が悪いのだから」という理由で法に触れる方法で回収しようとするのは違法行為に当たります。ここでは、どのような行為が債権回収において違法とされるのか、具体的な事例を交えてわかりやすくご説明します。

勝手に回収してしまうのは窃盗罪

たとえあなたの所有物であっても、貸している相手の了解なく持ち去ることは窃盗罪となってしまいます。

例えば、あなたが所有している自動車を知人のAさんに貸してあげたら、いくら催促しても返してくれない場合を考えてみましょう。仕方ないのでAさんの事務所の駐車場に停めてあった自分の車を勝手に持って帰ってきた場合、原則として窃盗罪となってしまいます。現在、その自動車を事実上持っているのはAさんだからです。

体に触れなくても暴行罪

親切でお金や物を貸したのに返却してくれないので、ついカッとなって怒ってしまうのは自然の感情ですが、これも罪になりやすいので気をつけましょう。実際に殴ったりしなくても、胸ぐらを掴むだけで暴行罪に当たります。さらに、相手の体に触れなくとも、石を足元に叩きつけた、大声をあげた、ということでも罪になります。

脅迫、恐喝、強盗の罪

脅迫というのは、普通の人であれば怖がることを行うと予告することで、相手を脅かすことです。例えば、「家に火をつけるぞ」といったことです。さらに、暴力や脅しが特に強い場合を強盗の罪と言います。相手にナイフを突きつけるような場合で、その上で無理やり貸したお金や物を回収すると強盗罪となってしまいます。

住居侵入罪、建造物侵入罪、不退去罪

貸したものを自分で取り戻そうとして、住居や建物内に勝手に入ることは住居侵入の罪、あるいは建造物侵入の罪となってしまいます。庭であっても住居に含まれますので注意が必要です。また、家に入ることを認められても、居間に通されたのに許可なく寝室や書斎など他の部屋に立ち入った、という場合も同様です。

逆に、一旦相手の許可のもとに住居や敷地内に入ったとしても、そこから出て行くように言われても居座るような場合は不退去罪ということになってしまいます。

以上のように、自分の権利を行使しているだけと思っても、法治国家においては強引に債権を回収することはできないのです。何度督促しても相手が応じてくれない場合には、一般訴訟、少額訴訟、支払督促などの正式な手続きをする必要があります。場合によっては弁護士に相談した方がいいかもしれません。時間がかかっていると消滅時効となって、最悪あなたの権利がなくなってしまうこともありますので十分気をつけましょう。